1995年1月17日、兵庫県を震源とする「阪神・淡路大震災」(M7.3 最大震度7)が発生し、高速道路をはじめ多くの建物が崩れ落ち、6千人以上の死者が出るなど甚大な被害が生じました。 このような発生予想確率の極めて低い地域でも、多くの被害をもたらすような巨大地震が発生する可能性があることを思い知らされました。
同年2月大地震直後の当社主催の異業種交流グループ会合で、地震前に電波時計が狂った、阪神高速を運転していた運転手がザーというノイズでAMラジオが聞こえなかった、など地震の前に発生した多くの「電波ノイズ証言」が話題となりました。また英論文誌“Nature vol.347, No.6921,Sept.1990”に日本の研究者の論文「地震予兆としての電磁波ノイズの発生」が掲載されていることも紹介されました。
論文によると地震が発生する前には、地中の圧力が増大し、鉱物などから電磁波が放出されるらしいこと、その電磁波を収集・観測することで、地震が発生する時期がわかる可能性があることが記されていました。
早速、異業種交流グループの技術士を中心とするメンバーでその研究室を訪問し、技術支援の承諾を得て電磁波による地震予知研究を始めました。
電磁波ノイズは、例えば雷の時、ラジオがガリガリ言うのがそれです。
このような電磁波ノイズの発生を検知するには、ラジオ放送や無線通信などに使われていない空白の周波数を監視していて、そこに電磁波ノイズが検出されれば分り易いはずですが、現在ほとんどの周波数は何らかの放送・通信などに使用されています。したがって大きな電磁波を検出してもそれが人工の信号なのか地震前兆の電磁波ノイズなのかは、人間が聞けばわかりますが自動判別は大変です。
そこで当社では、放送や通信があってもそれをキャンセルすることで自然界電磁波ノイズだけを自動分離検出する「逆ラジオ」装置を開発し、2001年に特許を取得しました。
その後さらに高精度な逆ラジオ装置を開発し、全国の観測点から安定した電磁波ノイズデータを収集することができ、過去に発生した地震と電磁波ノイズデータを関連付けることに成功。データの出現傾向を統計分析することで、本格的な地震予知が可能となりました。
現在では、全国の地震予知情報を毎週公開しており、7~8割の確率で的中しております。
地震発生より前になぜ電磁波ノイズが出るのか?どのくらいの強さの電磁波ノイズが出るのか、については地震と同様に岩石を破壊して実験する必要があります。
世界の多くの学者による岩石破壊の実験がありますが、そのうちの一例として東京大学吉田教授の「浸漬した砂岩の圧縮実験データ」を図に示します。
水に浸漬した直径4cm長さ10cmの砂岩をプレスで加圧して、破壊寸前になると0.1-0.3v程度の電圧が発生しています。水晶を含まない玄武岩でも水の影響でこの1/10程度の電圧が発生すると述べられています。10cmで0.1vとすると、縦横10kmの岩石が破壊寸前になったら、発生する電圧は1万vになるわけです。
勿論、岩石にかけた圧力が「増加するときだけ」電圧が発生し、高い圧力でも一定のままでは地電圧は発生しません。
10cmのサンプルで0.1Volt発生 → 地震前の加圧領域が10kmなら1万Volt!
上記のほか、何人かの研究者による同様の実験によると、マイクロクラック(微小な分子構造の破壊・変形)によって岩石中の分子構造的な隙間が加圧で埋められていくことと、岩石に含まれる水の移動による電圧発生が関与しているということです。
そうであれば、すべての隙間が埋まり、水が押し出されてしまったら、それ以上は進みようがなく、圧力を増加しても電圧が発生しなくなる可能性があります。
現実に、逆ラジオで検出するノイズ数の傾向を見ると地震発生の前に日毎に増大していたノイズ数が、ピークを迎えた後、次第に減少して、やがて殆ど発生しなくなり(データの収束と呼びます)、その後で断層が動いて地震が発生するのが殆どの場合です。従って、ピーク前後の全体のノイズ数が加圧される岩石全体の大きさに比例すると思われるので地震の規模が推定でき、データの収束状況で発生の時期が、予測できる可能性が大きい筈と思われます。
当然、ほかにも多くの研究者が地電流や電磁波による地震予知を研究していますが、どの手法でも電車による地電流変動や放送通信の信号電波など人工の電流・電磁波による誤認識で苦労しています。
当社はこれに対し、放送通信の信号電波をキャンセルして自然界電磁波ノイズを抽出する「逆ラジオ」システムを開発したことで、多くの地震予知に成功しています。
現在では、全国の地震予知情報を毎週公開しており、7~8割の確率で的中しております。
電磁波による地震予知研究を本格始動するにあたって、当社を含む異業種交流グループでは、自然界電磁波ノイズを自動分離検出する「逆ラジオ」装置を独自開発し、2001年に特許を取得しました。
電磁波ノイズの検知・解析装置
(特許第3188609号、特許第5379373号に基づく海外特許多数)
<構成>
・逆ラジオ本体 1台、・コントローラ 1台、専用ケーブル1本(5m)、
電源ユニット 1個、 LANケーブル1本(1.5m)
<仕様>
◆逆ラジオ 本体: ・基本受信周波数:850kHz
<逆ラジオの特徴>
次の図で、AM波帯では高周波搬送波を音声信号で変調して電波として放送します(図A)が、これに地電流に起因するパルスノイズが混入することがあります(図B)。
図Cのように、これをラジオで受信して通常のとおり検波・低周波増幅して音声信号を再生しますと、この音声信号には、高周波パルスノイズは殆ど含まれないので、雷が鳴ってもあまりガリガリいいません。
これに対し、高周波信号をそのまま検波・高周波増幅したものは、そのエンベロープは音声信号と同形ですが高周波パルスノイズがそのまま残っています。
この波形と音声波形との差を取ると、図Dのように 大部分がキャンセルされて、高周波パルスノイズだけが顕著に残るので、このパルスノイズの数を計数します。
音声信号をきれいに出す通常のラジオに対し、逆にノイズばかりを出力するので「逆ラジオ」と名付けました。
逆ラジオによる電磁波の測定による地震予知システム開発グループでは逆ラジオを開発して約20年間、異常な電磁波ノイズの観測と地震の発生の関連を研究してきました。
その結果、地震の前に、異常な電磁波ノイズが観測されることは明らかであり地震と電磁波ノイズの関連性は極めて高いことがわかりました。
さらに地震の前兆現象としての電磁波ノイズの量は、予想に反してすごく大きいことがわかりました。
つまり大地震の前には巨大な量の電磁波ノイズが長期間続きます。そのデータの大きさから地震の規模が推測され、データの発生場所から震源が推定され、そのデータの減衰、収束の状況から、およその発震日がわかります。